第二世 神の悪戯

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「……どうしてっ」  肩を震わせ嘆く柳月の姿に、晁光は耐えられず一歩足を前に踏み出すと手を伸ばす。 「……柳月」  晁光の手が肩に触れた瞬間、柳月は涙で濡れた顔を上げると声を上げた。 「どうしてっ……せっかくまた出逢えたのにっ……今度は兄妹なのっ?」 「……っ……!!」  柳月の問いに答えられず、晁光は顔を歪めると言葉を詰まらせる。 そんなこと自分だって知りたい。 なぜ、今度は血がつながった兄妹などに生まれ変わってしまったのか。 ただ傍にいたい。 共に生きて行きたい。 願いはたったそれだけなのに……。 「神様はっ……私達になんの恨みがあるのっ……!!」  泣き崩れる柳月の身体を抱きとめると、晁光は熱くなった目頭を歪め声を上げた。 「言うな!! 柳月!!」  力強い晁光の腕に柳月は縋り付くと、そっと胸に顔を寄せた。 何度生まれ変わり、姿形を変えても晁光の温もりは毎世、同じ事に安心感を覚える。 この温もりの中でなら、この終わりのない世に終焉を迎えたとしてもきっと後悔などしないだろう。 晁光への想いだけを胸に、もうお互い苦しまないためにもーーーー。
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