第二世 神の悪戯

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「……この世でも報われない想いなら……もう……生きてる意味がない」  ふいに独り言のように呟いた柳月に、晁光は困惑した表情を浮かべる。 「……柳月?」  顔を覗き込んできた晁光と視線が重なると、柳月は苦痛で顔を歪め叫んだ。 「もうっ……こんな繰り返しは嫌なのよっ、晁光!!」  柳月の苦しみが痛いほど胸に突き刺さる。 自分を偽ってまでこの世で生きようなど、馬鹿なことをしようとした。 そんなこと最初から無理だったのだ。 柳月が傍にいない人生など、意味がないと。  泣き顔さえも綺麗な柳月に微笑むと、晁光はそっと彼女の頬を伝う涙を親指で拭った。 その手を握り返してくる柳月に優しく問いかける。 「……終わりに……しようか?」 「……えっ」 「この世で……もう、終わりにしようか? 柳月」 「……晁光?」 戸惑う柳月に、晁光は目を伏せると、静かに言葉を続けた。 「君が辛いなら……もう……終わりにしよう」 「…………」  晁光の言葉に、柳月はその意図に気付くと息を呑んだ。
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