第二世 神の悪戯

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 晁光は棚の奥に仕舞い込んでいた小さな小瓶を手にすると、ソファーに腰を下ろしている柳月の元へ戻って来る。 柳月の隣に腰を下ろすと手にしていた子瓶を彼女の手に握らせた。  柳月は藍色が美しい洒落た小瓶を見詰めると、不安そうに問いかける。 「これで、本当に終わりにできるの?」  柳月の問いに、晁光は困った顔をすると彼女の手から小瓶を受け取った。 見た目は何かの媚薬でも入っているかのような美しい小瓶だが、中身は致死量を超える猛毒だ。 何も知らない父が怪しい市場の商人に騙され、興味本位で買ってきた物が、こんなときに役に立つとは思わなかった。 危ないからと父から取り上げ、そっと隠しておいただけの筈だったのに。 もしかしたら、これを使う機会を自分は伺っていたのかもしれないと今更ながら思う。 この世で生きて行くことに耐えられなくなったら、これを使おうと……。 「……分からない。でも、今まで自ら命を絶ったことはないから」
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