第三世 数年の時を得て、現世で二人は巡り逢う

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「それよりさっ。今年の新入生、可愛い娘多いよぉ」  感傷に慕っている自分のことなどお構い無しで、キャンパス内を埋め尽くす人集りを眺め声を上げた衛に晁光は苦笑いする。 「そうか。良かったな」 そんな他人事の晁光に、衛は眉を吊り上げると不満そうに口を尖らせた。 「良かったなって……お前さぁ、興味ない訳?」 「別に新入生がどんな子だろうと、俺には関係ないだろ?」 まるで『女に興味ない』と言った晁光の余裕の態度が癇に障り、衛は渋い顔をすると晁光の肩を小突いた。 「まったぁ。そんなカッコ良いこと言ってっ。そんなんだからいつまでも彼女できないんだよっ」  衛の言葉に、晁光は眉を潜めると不満そうな顔をして訴える。 「いつまでもって……いたことはある」 「いつの話ししてんだよ? もう1年も前だろ」 「でもいた」
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