第三世 数年の時を得て、現世で二人は巡り逢う

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 不貞腐れながらも反論してくる晁光の顔を覗き込むと、衛は意地悪く問いかける。 「でっ、振られたんだろ? 『あなたと居ても面白くない』って?」 「どうせ俺はつまらない男だよ」 そう言って目を伏せた晁光に衛は深い溜息を吐いた。 晁光はいつもこうだ。 どんなにはっぱを掛けても最終的には反論するのを諦めて自分の非を認めてしまう。 見た目は何処からどう見てもダサくて暗い印象の晁光だが、元は結構、男前なことを衛は気付いていた。 それに気付いた一部の女の娘達が、陰で騒いでいることも知っている。 だが、当の本人は自分の見栄えには興味ないらしく、着るものも髪型も拘りがないときている。 もう少し身だしなみに気をつければ、いくらでも彼女など出来るものを、そんな些細な努力さえも面倒だと感じている晁光の神経が信じられなかった。
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