第三世 数年の時を得て、現世で二人は巡り逢う

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 衛は無造作に伸ばされた晁光の髪を乱暴に撫でると、よれたシャツの裾を掴む。 「だからっ。もう少しさぁ、その髪型と服装なんとかしろよっ? コンタクトにするとかさぁ」 「めんどくさい」 案の定、眼鏡のフレームを指で持ち上げ興味無さげに呟いた晁光に、衛は声を上げる。 「これだからっ。自分の面の良さを自覚してないにも程があるぞっ?」  隣で喚き散らす衛を迷惑そうに見詰めると、晁光は小さく溜息を吐いた。 「面だけ良くても中身が寝暗なら意味ないだろ?」 「あー言えばこう言うっ」 納得いかない様子で隣でブツブツ文句を言っている衛に、晁光はそっと耳打ちする。 「俺に構ってないで、ほらっ? あの娘達、お前の好みじゃないの?」 「えっ? 何処? 何処?」 変わり身の早い衛に苦笑いするも、目の前の男女の集団を指差すと、そっと背中を押した。 「そこの集団。男も交じってるけど」 「あー! 君達ー! どうしたのぉ?」 途端、その集団に向かって走って行く衛の後ろ姿を、晁光は呆れた顔をしながら、ゆっくりと着いて行った。 「……まったく」
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