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素直な反応を示す柳が、先ほど見た落ち着いた雰囲気とギャップを感じ、晁光は好感を抱く。
「俺、3年の”日向晁光”」
「あっ、”浅葉柳”ですっ」
「柳君か。カッコ良い名前だね?」
「先輩こそ、”晁光”っていいっすねっ」
「名前負けしてるって良く言われるけどね」
笑いながら自ら蔑むような物言いをする晁光に、柳は慌てて口を挟む。
「そんなことっ……」
「ん?」
立ち止まり自分の言葉を待っている晁光の姿をまじまじと見詰め、柳は顔を引きつらせた。
本来なら先輩である晁光を立てるようなことを言うのが常識だろうが、お世辞にも、彼の格好が”カッコ良い”とは言えなかった。
アイロンも掛けていないだろうシャツは皺が目立ち、眼鏡にかかる程前髪は無造作に伸びている。
少し整えれば顔立ちからして知的なイメージの男前になりそうなのにと、残念な晁光の格好に何と言ったらいいか分からず眉を八の字に曲げた。
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