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歓迎会が終わり、二次会へ繰り出す集団の中からこっそりと抜け出した晁光と柳は、まだ肌寒い夜道を、二人、肩を並べて歩いていた。
隣で少し頬を赤らめながら楽しそうに微笑んでいる柳の顔を盗み見ると、晁光は口元を緩ませる。
「ちょと飲み過ぎちゃったかなぁ」
不意に柳が呟いた独り言に、晁光は目を丸くすると愉快そうに微笑んだ。
「飲み過ぎたって……たった一杯で?」
からかうようにそう言った晁光に、柳は抗議の視線を向けると唇を尖らせる。
「だから、オレまだ未成年ですってばっ」
「そうだった」
目を細めて微笑む晁光に、柳は直ぐに機嫌を直し微笑み返すとアルコールで火照る頬を撫でる夜風に瞼を閉じる。
「あー……気持ちいいっ」
立ち止まり夜空を仰ぎながら顔をほころばせている柳の姿に、思わず目を奪われる。
日本人にはあまり馴染みのない亜麻色の髪が、風に舞った途端、一瞬、長い黒髪に見えたのは気のせいか。
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