第四世 前世を捨てた君

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「?!」  晁光は驚いて目を覚ますと、霞む視界に映る風景に目を細めた。 ぼやけてはいるが見慣れた天井であることに、夢を見ていたのだとほっと胸を撫で下ろす。  やけに重たい身体に眉を潜めると上半身を起こし、ベッドサイドに置いておいた眼鏡に手を伸ばした。  深い溜息を吐き、全身、汗を掻いていることに気付き、当惑する。 (なんで……彼が?) 今まで何度も見た夢だった。 だが、あんなに鮮明な光景は初めてだ。 そして、つい最近まで女性だと思っていた長い黒髪の人物は、最近知り合ったばかりの男性だった。 彼女とは似ても似つかぬ容姿と性別……。 柳の顔を思い浮かべた途端、頭痛が襲う。 「……痛っ……?」 何かを思い出そうとする自分を拒むかのように痛み出す頭を抱えると、晁光は布団の中に踞った。
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