第四世 前世を捨てた君

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 衛の言葉に、ページをめくっていた晁光の指が止まる。 視線を上げ少し考える素振りを見せると、眉を八の字に曲げながら衛に顔を向けた。 「それは……少しは関係あるだろ? ……たぶん」  自信なさげな晁光の答えに、衛は肩を落とすと再び腕を取りドアへと引っ張って行く。 「なんだそれ? そんなのいつでも出来るだろぉ? ほらっ、行くぞっ」 「ちょっ? おいっ」  強引な衛に晁光が困り果てていると、ドアがゆっくりと開き、中の様子を伺うように見覚えのある顔が覗く。 「すいません……」 「あっ……」 小さく声を漏らした晁光と視線が重なった途端、柳は安堵の笑みを零すとドアを開け部屋の中へ足を踏み入れた。 「どうもっ」  柳の姿に、衛は晁光から手を離すと首を傾げる。 「君って……新入生?」 「あっ、はいっ。この前はお世話になりましたっ」 勢いよく柳が頭を下げると、衛は晁光へと問いかける。 「晁光、知り合い?」  晁光は衛に引っ張られよれた服を整えると、笑みを浮かべた。 「あぁ。彼は”浅葉柳”君」  晁光に紹介され、柳は衛に手を差し出すと笑顔を向ける。 「どうもっ」
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