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戸惑う柳の姿に、晁光は慌てて衛を引き離すと声を上げる。
「せっかくの新入部員を如何わしいサークルに誘うなっ」
「如何わしくねーってばっ。健全な男女の出会いをモットーにした清き正しいサーク……」
一人語り始めた衛の言葉を遮るように声を上げると、晁光は柳に椅子を勧めた。
「いいから、こんなヤツ放っといて、どうぞっ」
「あっ……はい……」
柳を椅子に座らせ自らも椅子を引き腰をかけようとしている晁光に、衛は慌てて声を上げる。
「おい、晁光! お前、合コンどうすんだよっ?」
「一人で行ってろっ。それにお前だって一応、ここの部員だってこと忘れるなよなっ」
すっかり新入部員にご執心な様子の晁光に、衛はつまらなそうに口を尖らせると渋々、部屋から出て行く。
ドアに掲げられた”ミステリー研究サークル”の文字を恨めしそうに見詰めると、寂しそうにその場を後にした。
「……なんだよぉ……廃部寸前のサークル助けてやったの忘れるなよなぁ」
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