第四世 前世を捨てた君

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 思った通り、柳の話しは聞けば聞くほど、自分の夢に似ていると、晁光は彼の話しに夢中で耳を傾けた。 時代は今よりずっと昔、服装はいつも違うが、彼はいつも誰かと待ち合わせをしていると。 そして、その場所にはあの花が必ず咲いている。 花びらが舞うその場所で、その人はいつも自分を待っていてくれるのだと。  話しを一旦区切った柳に、晁光はおずおずと問いかける。 「……それって……君の恋人とかなのかな?」  晁光の質問に、柳は夢の中に出て来る人物の姿を思い出そうと眉を潜める。 「さぁ……どうなんだろう。顔は良く見えないんですけど……たぶん男だから違うんじゃないかな?」  柳の言葉に、晁光は少し肩を落とすと目を伏せた。 「……そう……なんだ」 夢の内容は似ているが、待ち合わせしている人物が男性だとすると、少し異なる。 自分の夢に出て来るのはまぎれもなく女性だ。 最近では、彼と知り合いになったせいか柳の顔と重なることが多くなったが……。
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