第四世 前世を捨てた君

13/21
前へ
/140ページ
次へ
 自分と同じように考え込んでいる晁光に、柳は身を乗り出すと問いかける。 「これってどう思います?」 「えっ……」 驚いたように視線を向けてきた晁光に、柳は眉を八の字に曲げると訴えた。 「最近、毎晩なんですよ。なんか……意味があるのかなって」 「……意味」 「はい。それに、今までそんな夢見たこと一度もないんですよねぇ……なんか気味悪いっていうか……」  予想以上に、夢のことを気にしている柳に、晁光はこの名前を出そうか一瞬迷うも、静かに口にする。 「……”ゆづき”」 「えっ?」 聞き返してきた柳に縋るような気持ちで再び問いかけた。 「この名前に聞き覚え……ない?」  切な気に自分を見詰めてくる晁光に、柳は必死で自分の記憶を辿る。 「”ゆづき”……?」 「あぁ……」
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加