第四世 前世を捨てた君

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 夕日が沈みかけたキャンパスを晁光と柳は肩を並べながら歩く。 昼に比べ、大分人が少なくなった辺りを見渡すと、晁光は先ほどの柳との会話を思い出し小さく溜息を吐いた。 柳の口から見覚えのある風景の様子を聞かされ、正直戸惑っていた。 なぜ彼が自分と同じような夢を見ているのか。 そして彼が夢の中で待つ人物とは一体誰なのか。 いくらミステリーに興味があるからといっても晁光自身、今までそんな体験をしたことはない。 宇宙人を見たとか心霊体験を経験したとか、そんな類いの話しを聞くのが好きなだけだ。 そんな不思議なことが、まさか自分の身に起こるなど想像すらしていなかった。 だがここでふと思い直す。 柳からもっと夢の詳細を聞き出せたら、少しは自分の夢のことも分かるかもしれないと。
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