第四世 前世を捨てた君

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 隣で真っすぐ前を向いて歩いている柳の横顔を、晁光はそっと盗み見る。 夕日に照らされた彼の亜麻色の髪がより一層輝きを増し綺麗だった。 そんな柳の姿に気を取られていると、ふいに柳の唇が動き言葉を紡ぎ出す。 「先輩っていつも一人であそこに居るんですか?」 正面を向いたまま問いかけてきた柳の声に我に返ると、晁光は慌てて視線を前へと戻した。 「あぁ、他の部員はほんと幽霊部員だから」 「何調べたりしてるんですか?」 今度は顔を向け問いかけてきた柳に、晁光も視線を送ると言葉を続ける。 「普段はさっき言ってたみたいに地球外生命体とか、心霊現象とか……不思議だなって思うことは一通り?」 「ふーん……で、今は何か調べてるんですか?」 「…………」 会話の流れで問いかけてきた柳の質問に、晁光は口を噤むと足を止めた。 そんな晁光の様子に気付き、柳も足を止めると振り返り首を傾げる。 「先輩?」 続きを促すように顔を覗き込んできた柳を一瞥すると、晁光は直ぐに下を向いた。
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