第一世 一番古い記憶

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 森を抜けた途端、晁光は目の前に広がる光景に慌てて足を止めると愕然とした。 「?!」 その様子に必死で晁光の背中にしがみついていた柳月は顔を上げると、道がない崖の先に広がる夜の海に驚いて目を見開く。 「行き止まりっ?」  悠長に考えている余裕などなかった。 道がないのなら別の道を探すまでだ。 「戻ろうっ」 晁光が踵を返した途端、柳月は森から現れた陰の集団に声を上げる。 「あっ……!!」 「……っ……!!」  柳月の声に晁光は眉を潜めると、ゆっくりと後ずさり柳月の身体をそっと降ろした。  月明かりに反射し光を帯びたいくつもの刃が自分達へと向けられる。 その刃から守るように晁光は柳月の身体を背に隠すと腰に差した刀の柄に手を伸ばした。
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