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洗面台の前に立った晁光は、今朝見た夢を思い浮かべながら鏡の中の自分の姿を見詰めていた。
あれはいつの頃の記憶だったかと考えながら、当時の自分と今の自分の姿を比較し苦笑いする。
今、鏡に映っている男は以前の自分とは似ても似つかぬ顔をしていた。
前世と違い、この時代が平和だからだろうか。
今の生活に慣れ、気の抜けてしまった顔だが、衛が言った通り少し整えれば少しは変わるだろうか。
晁光は眼鏡を外すと、少しぼやけた視界に眉間に皺を寄せる。
コンタクトにするかどうかはともかく、髪だけでも少しは整えようと、普段使う事がないワックスを手に取った。
少しだけでもいい、以前の自分の面影を思い出させてくれる容姿に近付こう。
やっと巡り逢えた、愛しい人の為にとーーーー。
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