第五世 蘇る記憶

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 おずおずと柳が顔を上げた途端、晁光と視線が重なり、慌てて逸らすと戸惑いながら口を開き始めた。 「いや……あの……こんなこと言ったら気持ち悪いって思われるかもしれないなって……」  未だにそんなことを気にしている柳に、晁光は一瞬呆気に取られるも、苦笑いすると優しく言い聞かせる。 「大丈夫だよ。そういう話しは大歓迎って言っただろ」 「……はぁ」 あまり乗り気ではない柳に、晁光は少し強引過ぎたかと、ゆっくりと身を引くと落ち着いた口調で言葉を続けた。 「聞かせてくれないかな。その夢のこと」  さっきとは違う、いつものような落ち着いた晁光の口調に、柳は再び視線を向ける。 真剣な眼差しを向け、自分が口を開くのを待っている晁光の姿に、柳は意を決すると重たい口を開き始めた。
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