67人が本棚に入れています
本棚に追加
ぽつり、ぽつりと柳が話す夢の詳細に、晁光は真剣に耳を傾けた。
話しを聞けば聞く程、やはり柳は柳月の生まれ変わりなのだと確信する。
見た目は以前とは似ても似つかない柳が、次第に、自分が良く知っている彼女の姿と重なっていく。
長く揺れる睫毛も、手持ちぶたさに髪をいじる仕草も、すべて以前の彼女の面影を連想させた。
紅など引いていないのに、セイヨウサンザシのように赤く色づいた唇が動く様に囚われる。
何度も生まれ変わり出逢ってきたのに、その唇に触れたのは、たった一度だけだったことを思い出す。
それも、記憶が蘇った途端、決して結ばれぬ想いだと諦めた世に、次の世がないことを願い口づけた死の接吻。
初めて触れた彼女の唇は、離れがたくなるほど、愛おしかったーーーー。
最初のコメントを投稿しよう!