第五世 蘇る記憶

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 一通り話し終えた柳は、ふいに今朝見た夢の中の男性の顔を思い出し口を噤む。 いくら不可解な話しを親身になって聞いてくれる晁光でも、夢の中の男性が晁光に似ていたなどと口にしたら、きっと気味悪がられるだろう。 それに、どうやらその男性と夢の中の自分は恋仲だったようなどと、口が避けても言えなかった。 そんなことを告げられて、良い気分になる人間などいないだろうと。  すっかり冷めてしまったコーヒーを遠慮がちに啜り、俯いてしまった柳に、晁光は期待するような瞳を向けると身を乗り出す。 「……それで、他に気になることはなかった?」 「えっ?」 「だから……例えば、その夢に出て来る人の、顔……とか?」
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