第五世 蘇る記憶

17/36
前へ
/140ページ
次へ
 二人の間に流れ始めた重たい空気に、柳は居たたまれなくなると何か話題はないかと頭を巡らせる。 「そういえばっ。先輩の夢ってどんなのなんですか?」 「えっ……」 微かに反応を見せた晁光に、柳は必死で笑顔を作ると問いかける。 「先輩言ってたじゃないですか? 今度話してくれるって」  自分の気など知らず、楽し気に問いかけてくる柳の姿に、少しだけ胸が痛んだ。 だが、それも仕方ないことなのだと自分を納得させると、晁光は深い溜息を吐き重たい口を開く。 「あぁ……そうだったね」 「…………」 口を噤み、大人しく自分の言葉を待っている柳を一瞥すると、晁光はふと一つの可能性に光を見いだす。 もしも、ここで自分も同じ夢を見ているのだと告げたら、記憶は蘇るのだろうか。 柳は、自分を思い出してくれるのだろうかと。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加