第五世 蘇る記憶

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 再び期待で胸を膨らませると、晁光は慎重に言葉を口にする。 「……俺も、同じ夢を見るんだ。その……赤い花の夢を」 「えっ……」 「君と同じ……丘の上に咲く、セイヨウサンザシの夢」 「…………」 そう言った晁光の瞳と重なった途端、何かに囚われたかのように柳の身体は動かなくなった。  ふいに目の前にチラチラと舞い始めた赤い花びらの存在に、柳は眉を潜めると一枚の花びらを目で追う。 舞いを踊るように回りながら宙を彷徨っていた花びらは、勢いをなくし落下して行く。 その様に、柳は無意識のうちに手を差し出した。 広げた掌の中央に向かって真っすぐと落ちて行く花びらに、愛おしさを感じた。 花びらが着地したと同時に、上から大きな手が重ねられる。 その途端、懐かしい温もりに柳は顔をほころばせると、重ねられた手を握り返した。
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