第五世 蘇る記憶

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レナとは同期入学のせいもあり、授業で良く顔を合わせているうちに自然と話すようになった。 二人で遊ぶことはなかったが、良く遊びに誘われる仲間の中に必ずレナがいることに、いつの間にか仲良くなっていったのだが、やたらと話しかけてくる彼女が実は自分に好意を寄せているのだと最近になって気付いてからまともに目が見れない。 それに、意識し始めたせいか、彼女が結構可愛いことに気付いてしまった。 丸くて大きな瞳にまだ幼さが残る笑顔を振りまかれる度、胸が高鳴る。 自分もまんざらでないことは確かなのだが、彼女の口から気持ちを聞いていないことには自分から行動に起こすまでの勇気は持ち合わせていなかった。 それに、今は彼女のことより、もっと考えなければいけないことがあると。  難しい顔をして口を噤んでしまった柳の姿に、レナは小さく溜息を吐くと柳の頭をポンポンと叩き踵を返す。 「今日はちゃんと寝るんだよー」  人の気など知らず呑気に自分の元を去って行ったレナを、柳は恨めしそうに見詰めると机の上に突っ伏した。 「……寝れないんだよ」 (寝たら、またあの夢を見る……)
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