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暗い森の遊歩道をセシルとクラウスは灯りを灯さずに、木々のすき間から照らされる月明かりをたよりに歩いていた。
「今夜は満月ですね。こんなに明るくて...、散歩が気持ちいいです。」
セシルは隣で歩くクラウスの横顔を見つめた。
白い月明かりが、クラウスの整った横顔を照らす。
漆黒の艶のある髪。月明かりが、少し長い前髪を透かし、形のいい目をのぞかせた。
セシルはそっとクラウスの指に自分の指を絡ませた。
その目がチラッとこっちを見る。
「嫌...、ですか?」
うつむき、靴先を見る。
クラウスは何も言わず絡めたセシルの指を軽く数回撫でた。
それだけで、セシルは熱い息が漏れる。
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