第2章 セシル・ティア~儚くも永久の物語り~

212/216
前へ
/217ページ
次へ
散歩に誘ったのはセシルだ。 クラウスとふたりっきりになりたくて。 どうして私が誘ったのか、クラウスに見透かされているだろうか...。 きっとクラウスのこと。あのティータイムの時からこうなるとわかっていたかもしれない。 それでもいいと思っている。 みんなといる時はもちろん楽しく、心地がいい。 が、クラウスとふたりきりも比べられないくらい愛しい時間だ。 朝の散歩で来る池にたどり着いた。 セシルは空いている手でケープのえりを立てた。 「飛竜はどうしているでしょうか...。」 ひらけた空を見上げ、セシルがつぶやいた。  「それを聞きたくて俺を誘ったのか?」 セシルはクラウスに視線をやると、意地悪そうにこちらを見るクラウスの目とぶつかった。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加