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長瀬が食べたいものは何だろう。
これまではそんなこと、あまり深く考えたことがなかった。
お酒に合わせて、私が食べたいものを作る。
それが普通の流れになっていたから。
でも、今日は違う。
長瀬に喜んでもらいたい。
長瀬の好きなものを作りたい。
その気持ちがむくむく膨らんで、私の手を止めていた。
けれど、迷っていても仕方ない。
長瀬が言った『一時間後』はもうあと数十分で訪れる。
「……よし!」
ふう、と大きく息を吐いて。
私は食事の支度に取りかかった。
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