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わたしの背中を、
ぞくりと寒気が走った。
ヒロシの言っていた、
狐火の話が脳裏をかすめる。
…まさか、ホントに…?
「…幽霊の仕業、って事も
ないだろうけどね」
もう一人の人物が、
冗談とも取れないような
深刻な口調で呟いた。
…春山先生の、お父さんなのかな。
その割には、すごく
他人行儀なような…。
さっきまで感じていた
後ろめたさはどこへやら、
好奇心に勝てず、
声の主を見ようとさらに
壁の向こう側を覗き込んだ時だった。
「こら、椎名。なにしてんの」
いたずらを咎められた猫のように、
わたしはぴょこっと飛び上がった。
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