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大学からの帰り道。
腕に提げた軽い買い物袋がガサガサ鳴る。
ビニール袋が擦れる音と、地面を蹴って歩く足音が2つ。
それが耳に入るだけで、なんだか楽しい気分。
アパートの名前が書かれたスタイリッシュな白と黒の門柱の前に立って、真っ白な外壁を眺める。
「何してんの」
「う、ううん」
駐車場を歩く馬木くんの後を、小走りで追う。
ガサガサ、ゴソゴソ。
夕飯2人分の材料が入った袋が鳴る。
「堀内。後ろに鍵入ってるから、取って開けてくれる?」
買い物袋で両手が塞がっている馬木くんが、ズボンの後ろポケットを向けてくる。
「は、はい」
ポケットから取り出して鍵を開けるだけなのに、手が震えそうなくらい緊張する。
鍵が開く音がしてドアノブに手を掛けると、扉を開けて馬木くんが入るのを待った。
「ありがと」
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