【第28話】燻る火種

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  「そろそろ始めるか」 「うん」 長瀬に続いて、会場に入る。 二次会の進行よりも、明日の約束の方が緊張度は高い。 私たちの後に入場してきた新郎新婦。 無数のフラッシュが焚かれる中、夫婦になった二人がその光に負けないくらいの笑顔で応じている。 いつか私にも、こんな風に心から笑える日が来るんだろうか。 そのとき隣にいるのは、誰なんだろう。 ……長瀬だったら、と考えるのは自然で。 だけど頭の中でさえ、上手く形になってはくれなかった。 明日の話で、事態は好転するんだろうか。 それとも、変わって欲しくないものが変わってしまうんだろうか。 どちらにせよ、変化は、訪れるんだろう。 緊張と不安、期待と……覚悟が、私の胸で渦巻いていた。 .
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