【第28話】燻る火種

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  「今日は、たぶん、無理だろ。片付けもあるし、な」 「……そう、ね」 話す、といったあのことだと気付き、頷いた。 二次会が終われば、これで終わり、とはいかないのがこういうイベントの常だ。 明日は月曜だとわかっていても、おそらく、三次会だの四次会だのと騒ぎは続くんだろう。 私たちもきっと、その波に飲まれる。 「だから、明日の夜。遅くなっても必ず行くからな」 「……うん。わかった」 了承した私に、長瀬が優しく微笑みかける。 さっきまで怒っていたのに、と不満に思いながらも、その笑顔に胸が高鳴るのは惚れた弱みってやつかもしれない。 .
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