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「ヨギ、お帰りなさい」
青の国からヨギが帰ってきた。
ヨギの報告では、ジニの姪御ララは順調に快方に向かっているとのこと。
両国医師の交流は、草原の宿場を予定しているとのこと。などなど、一通りの報告を受け、リリアはホッと一安心した。
「良かったわ。何の問題もないみたいね。さて、ヨギ、中庭にジニを呼んであるの。ララちゃんのこと伝えてあげて」
「はい、では」
ヨギはユリと合流し中庭に向かった。
走道を走っていたジニは、ヨギに気付きかけてくる。ヨギは、ジニにララが快方に向かっていることを伝えた。ジニの顔が安堵に変わる。
その様子を、リリアはバルコニーから見ていた。ヨギの報告を受けたジニの顔が明るくなったのを見て、リリアも弾んだ気持ちになった。
と、ユリがリリアに気付く。リリアは手を振った。ユリは一礼し、遠慮がちに手を振る。ヨギとジニも小さく手を振った。
ユリとヨギが急に振り返った。誰かに呼ばれたようである。
中庭にラウルが入ってきた。ラウル、ユリ、ヨギはそのまま南門塔に入っていった。
残されたジニは走道を走りだした。
――体力づくりかしら――
リリアは走るジニを眺めていた。
10周ほどゆっくり走ったジニは、軽く屈伸をし、いきなり猛走をはじめた。走道を2周走り切り、大の字になって寝転がる。
――まぁ、男の人っていいわね。あんな恰好できて――
リリアはなおもジニを観察していた。
「――っ!!」
リリアとジニの目が合う。驚くジニ。勢いよく立ち上がると、真っ赤な顔で深く一礼した。
その様子を見たリリアは思わず、クスクスと笑う。そして、ジニに大きく手を振った。
ジニは、わたわたと慌てながら、手を振り返す。
お互いに軽く会釈をして、リリアは私室に入り、ジニは南門塔を出て行った。
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