384人が本棚に入れています
本棚に追加
「リリア、こんな独占欲の強い男でいいのか? 父が、もっと良い男を捜そうか?」
クロードはいたずら顔をしながら訊ねた。
グレイのこめかみがピクリと動く。
クロードはサッと立ち上がり、そして、リリアの黒髪を撫でた。
クロードの瞳は柔らかい。そして、少しの切なさも含んでいた。
「リリア、リリアはわしの娘じゃ。この黒髪は、……メイアの形見。メイアの形見を持つリリアはわしの娘なのだよ。困った時は、いつでもこの父を頼るのじゃよ」
「はい、父上」
リリアは優しく答えた。
グレイは、ピクリと動いていたこめかみの感情を、なんとか収め、
「リリアは3人の父がいるね」
と言い、黒髪を撫でる叔父の手を払いのけ、自身の手でリリアの髪を撫でた。
クロードは呆れ顔。
リリアは真っ赤な顔。
そして、グレイはリリアに極甘顔。
こうして、いや、そんなわけで? 北門塔を訪れていたリリアは、グレイの迎えで南門塔に帰る。
.
最初のコメントを投稿しよう!