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何故かリリアは出てこない。
「どうした? リリアは居ないのかい?」
「あっ、はい。いえ! あの…」
ユリがどっち付かずの返答をする。
「……そうか、では出直そう」
グレイはあえて、引いてみたのだが、侍女たちは慌てている。
「いえ、少々お待ちください。あっ、いえ、準備が出来ましたら、グレイ様私室に伝えに参ります」
とティア。
「準備?」
グレイはこれまたあえて、疑問を口にする。
「!!っ、お、お部屋がただいま薬草で、ち、散らばっておりまして、そ、そ、そ、掃除をと……」
ティアは、何故か直立不動で、奇妙な早口で答えた。……敬礼つきで。
グレイは吹き出しそうになるのを、なんとか堪えて、
「では、私室で休んでいるよ」
と言って、その場を後にした。
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