384人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に入った瞬間、グレイは固まった。
薄白桃の滑らかな背中が、艶やかな黒髪の隙間から、色香を放つ。
腰のラインが強調されたテールドレス。
「リ、リリア?」
その色香を放つ後ろ姿に、グレイは声をかけた。
リリアがそっと振り返る。
「!!っ」
強調されているのは、腰だけではなかった。
……
巫女服姿、上品なドレス姿。そんなリリアしか見たことのないグレイは、目の前のリリアに言葉を失った。
「……あの、着替えてきます。似合いませんよね」
何も言わないグレイに、リリアは悲しくなった。そして、踵を返す。
寝室に入ろうとするリリアに、衝撃が走った。
グレイが、後ろから抱きしめたのだ。
「リリア、……すごく綺麗だ」
グレイはそう言って、露になっている左肩に、口付けをした。
リリアの肌が紅色に変わる。
紅色の桃がグレイを誘惑する。
ーーこれ以上、惑わせないでくれよ、リリアーー
.
最初のコメントを投稿しよう!