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ーーこれ以上、惑わせないでくれよ、リリアーー
グレイは心の中で呟いた。
リリアがまた、左耳を触った。
「……左耳を触るのは癖なのかい? リリア」
グレイは、リリアの左耳に囁く。そのまま、左耳にも口付けをした。
「あっ、 やぁ」
リリアが思わず声を漏らした。
グレイは、これ以上は……危険と判断し、リリアをクルリと回転させた。
互いの視線が重なる。
リリアは潤んだ瞳でグレイを見つめた。そして、
「グレイ様が、はじめて言ってくれたのが、……左耳だったから」
と小声で言ったのだ。
「んっ? はじめてとは?」
「あ、あの、エデンで……」
「エデン?」
「はじめて、だ、抱きしめてくれて、はじめて……」
ボンっと、リリアの顔が赤く上昇した。
ーーはじめて抱きしめて? !! ああ、そうかーー
グレイはニヤリと笑い、リリアを抱き寄せた。
そして、リリアの右耳に告げたのだ。
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