第1章 -過去ー

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俺は魔力が全てのこの世界で数少ない魔力無しの落ちこぼれだった。 でも俺は特殊な形で魔力を無くした。 あれは忘れもしない14歳になった時の出来事。 貴族でも無い平民生まれの家。 その中でも貧しいほうだった俺の母さんは俺を学園に通わせる為に昼夜を問わず働き過労で倒れ死んだ。 あの時ほど自分の母さんが無理している事に気付けなかった自分を悔やんだ事は無かった。 父親はいない。 死んでいるのか生きているのかさえも俺は知らない。 一度母さんに聞いた事があったがあの時母さんは寂しそうに笑うだけで何も答えてはくれなかった。 孤独の身となった俺。 母さんの遺したお金が有れば学園に通えたが俺はそのお金を使う事が出来なかった。 いわばこのお金は母さんの命で出来たお金。 母さんのお金を使う事が俺にとって母さんの命を手放して行っているようで出来なかった。 母さんはきっとそんな事を望んでいないだろう。 だけどどうしても俺は母さんのお金を使えなかった。 だから俺は学園に通うためにギルドに登録し金を稼いでいた。 母さんのお金は使わず、自分の事は自分で解決する。 身寄りのない俺に選択する権利はなく、14歳の俺が稼ぐにはギルドが一番便利で額も大きかった。 その頃の俺は魔法に関しては絶対の自信があった。 全属性、希少以外の中級魔法習得、魔力切れを起こした事は無く、中等部の実技は学年でも上位に位置していた。 だからこそ俺はギルドで稼ぐ事にし、一人でも生きていくことができた。 あの事件が起こるまでは……
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