第1話

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 ここはとあるカフェ。何の変哲のないカフェだ。  私はこのカフェの経営をしている。来店されるお客様はみんな、私のことを「店長」、と呼ぶ。  しかし、店長とは世を忍ぶ仮の姿。  「店長」こと、「私」は「宇宙人」だ。 *****  ここでカフェを始めたのは三年前。 以前住んでいたホシが流星群によって半壊したのがきっかけで、地球に引っ越してきた。そこで始めたのが今のカフェである。  最近では「常連客」というのか、毎日のように来てくれるお客様が増えてきている。  「あの店のおススメは、シンプルなコーヒー。砂糖を一本入れるとたいへんおいしいと評判」…になりつつある、と願いたい。  お客様のほとんどは宇宙人である。宇宙人といっても、みんな地球人の姿。  どのホシも地球に来るときはちゃんと、地球人の格好をしている。なぜかというと、宇宙人は地球人が思っているほどそんなに強くはないし、地球人よりも優れた宇宙人もいれば、そうでない宇宙人もいる。  ―――宇宙人だってそれぞれ事情があるのだ。  ここにはたくさんの宇宙人がやってくる。もちろん地球人だって普通に来る。どちらかといえば、やっぱり宇宙人のほうが多いが。  宇宙人はお互いに宇宙人だとすぐわかってしまう。本当の姿がちゃんと見えているから。  地球人はその技術がまだ進歩していないからか、近くにいても気付かない。  いや、気付かれたら困る。宇宙への関心は地球人はとても高い。いつ気付かれて、地球人のために研究されたり、解剖されたり、宇宙へ投げ出されたりするのはごめんだ。  それがない、今の現状にとても満足している。
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