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カラン。と入口のベルが鳴った。
さて、今日も一日頑張りますか。
*****
「こんにちは」
入ってきたのは「地球人常連客」の一人、大学生の田山君。現在シュウカツ中だそうだ。
「店長、聞いてよ。コイツ、また不採用通知が来たんだってさ」
後ろからもう一人。「宇宙人常連客」の一人、同じく大学生の有沢君。有沢君は世を忍ぶ仮の姿。もちろん「有沢君」も本名じゃない。
有沢君は私よりも地球人としては先輩だ。こちらに来て、すでに十年になるそうだ。私としては有沢君は「地球人」としての常識や、最近の流行を教えてくれるありがたい存在となっている。
「こんにちは。それは大変だねぇ」
「もう、オレ、就職できない気がしてきた」
こんな風にいつも情けない表情で、ここでのコーヒータイムを楽しむ田山君。
彼らが来ると、注文無しでコーヒーを淹れる準備を始める。
これが、「いつもの」ってやつだ。
「で、次はどこを受けるの?」
ちなみに有沢君はすでに大手企業に内定が決まっているらしい。
「小笠原出版」
「悪くないね。エントリーシートは?」
コーヒーを入れる間に田山君の次の挑戦先に取り組んでいるようだ。
うんうん。学生はこうでなくっちゃ。地球人三年生の私が言えたことではない
が。
「店長、ね、店長ってば」
「ん、うん?呼んだかい?」
おっといけない、上の空になってしまっていたようだ。
「店長はさ、シュウカツ、どうだったの?やったでしょ?」
ん。いけない、そこまでの設定を考えていなかった。
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