1時間目:背負うモノ

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「おはよ、蒼」 声をかけてきたのは、柔らかい目尻の太一だ。 陸上部の練習後なのか、首にタオルを巻いている。 「はよ。練習か?キャプテンはキツイだろ。」 太一は男子陸上部のキャプテン。 青春のど真ん中走ってます、みたいなヤツだよなぁー…。 「楽しいからいいけどね。」 ニコッと眩しい笑顔を浮かべる。 不敵な笑みの海風とは大違いだ。 水分とっとけよとだけ伝え、席につく。 チャイムがすぐに鳴って、海風のなーなーなHRが始まる。 「よし、終わりー。授業受けろよー、俺が怒られんだから。」 欠伸まじりにそう教室に言い残し、海風は職員室の方へ歩いて行った。 私はもち、ダッシュで屋上へ向かい、授業放棄だ。
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