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弁当を食べ終えた後、しばらく雑談をした。
太一ファンクラブは、3組の廊下でモサモサとパンをかじり、太一をずっと凝視していた。
さすがに…若干引く。
太一は顔には出さなかったが、かなりウンザリした様子だ。
「太一君、大丈夫?」
野菜ジュースを飲み終えた橘が眉を下げながら心配そうに太一に小声で話しかける。
「え?あぁ、うん。ごめんね、心配かけて…」
苦笑を浮かべ、力なく太一は右手で頬杖をついた。
「なんかあったら言えよ。どーせ角が立つし、ファンを傷つけたくないとか考えてんだろ?」
中途半端に優しいから、ファンクラブが拡大して調子乗るんだよ。
「蒼には全部バレるな…」
少し照れ臭そうに頬をかき、どこか嬉しそうに笑う。
「全部はわからないよ。」
全部を分かり合える事なんて、ないんだ。
そこでチャイムが鳴り、ファンクラブは退散、太一も橘も席につく。
5時間目は英語。
果てしなく、つまらない。
…ので、5時間目も結局寝た。
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