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心地いい春風が、頬を撫でる。
視界いっぱいが桜のピンクに染まる季節。
春休みが明け、私、望月蒼は桜華(おうか)高等学校の3年生になった。
でもまぁ、学年とクラスのメンツが少し変わるだけだし。
2年の時とほとんど変わりはない生活ろうなぁー…なんて、ぼーっと考えながら満開の桜の樹がある中庭を眺める。
「蒼っ!!」
勢いよく私の机が叩かれる。
フワフワの栗色の髪を、頭の左側で束ねている、小柄の色白な女子生徒。
2年の時に同じクラスだった、橘紫苑だ。
「聞いたっ!?」
「知らん。」
桜から目を1ミリも動かさずに即答する。
「まだ何も言ってないよ!!」
涙ぐんだ声で私の制服を引っ張ってくる。
のびるから放せと言いつつ、橘の話を聞いた。
どうやら、私達のクラスの担任の話しらしい。
「でね!その先生!!ちょーーイケメンなんだって!!!」
あぁ、そう。
熱弁する橘のはてしなくどうでもいい話を右から左に流しつつ、本を開くと、真剣に聞けと本を取られた。
「はいはい、そのイケメンが何だよ。」
めんどくさい。
別にイケメンでも新任でもどうでもいいんだが…。
でもコレ言うと橘はさらに面倒な事を言い出しそうなので、腹の底に押し込む。
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