1時間目:背負うモノ

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教室に戻ると、若干ヤツレ気味の太一と、期待に目を輝かしている橘が、机に座っていた。 少し太一に同情しつつ、席についた。 私の席は、教室の真ん中より後ろの席。 でもここからでも中庭の桜は見える。 HR前のチャイムが鳴り、生徒は一斉に席に着く。 その後すぐに人が1人教室に入って来た。 もちろん、私は見てない。 中庭の桜を見てる。 女子生徒が急に騒ぎだす。 あー、イケメン新任教師だからか。 でもやっぱり興味ないから、桜から目線を外して机に突っ伏す。 …と、頭のてっぺんにチョークが直撃した。 「いって!!」 慌てて頭をおさえる。 痛い。 今時チョーク投げ飛ばす教師いるんだな…。 「俺様の登場をスルーしてんじゃねぇよ」 「ってーな…。マジいてぇ。」 床に目を落とすと、先から先まで粉砕しているチョークがある。 どんな強さだよ…。 「おい、聞いてんのか?安上がり女」 「あぁ、さっきのタバコの人か。何?担任なの?」 頭をさすり、タバコの人に目を動かす。 今度はワイシャツだけじゃなくて、上着も着て、スーツ姿だ。 「俺さっきからそう言ってるよな?」 到底教師とは思えないほどの殺気を放たれる。 「あー、そう。」 それさえもかっこいいと見えるのか、女子生徒は黄色い声をあげる。 いやもう奇声に近い。 「おら、静かにしろよ。俺はこの3組3組の担任になった、海風晴真だ。」 女子生徒の奇声で、今日のHRは終わった。
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