1時間目:背負うモノ

8/20
前へ
/100ページ
次へ
あ、コレ、限定のやつだ。 1個買うだけでもすっごい列ぶのに…。 3個もあるし。どんなツワモノ? 「おいひぃーー」 ドーナツを頬張ると、桜の香りがふわっと口に広がる。 海風は眉をひそめながら紅茶を飲んでいたけど、私の方を見てふっと優しく目を細めた。 屋上で見せた不敵な笑みとは違い、まるで別人だ。 こんな風に笑うなんて知ったら、もっとファンが増えそうだな…。 「ドーナツ…ありがと。けっこう列んだろ?」 「いや、5分で買えたぜ?前に列んでた女共が俺様に道を開けたからな」 うわぁ…不正、のようなそうでないような…。 また黒い笑みを浮かべ、俺様天才、とかドヤ顔で言ってる。 実はこいつすんげぇ…バカなんじゃないか? 「いや、最初から分かりきってたか…」 「今すげぇ失礼な事考えただろ」 エスパーかよ…!! 誤魔化すようにドーナツをむしりつつ。 3時半には家に帰った。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加