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「陣内さぁん、また来てね」
青のドレスを来たエレナちゃんが、手をひらひら振りながらニッコリ微笑みかける。普通に女子として見てしまってる俺は今、いけないモノになってしまっているのだろうか。
ここであえて言おう。
アイムストレートっ。
「あぁ、また来るよ」
「ノアの5巻明日発売でしょ?明日ソッコー買うから」
「ありがとね。あっ、そうだ。エレナちゃんこの間TV出てたね。可愛かったよ」
俺のリップサービスに、菜摘ママがいち早く反応する。
「ちょっと陣内ちゃん?その番組、あたいも出てたんだけどあたいにも何か言ってくれないかしら」
俺は支払いを済ませて財布をしまいながら答える。左目と左口角がつり上がるのは、もうどうしようもない。
「ま……ママも可愛かったよ?」
多分。
珍獣マニアにはたまらないであろう頭の飾らなさ加減が。可愛さのレベルは……そうだなぁ。水槽越しに見えるウーパールーパーやチンアナゴが可愛いと思う、そんな斜め上をいく感じかな。
うん……分かってるよ。俺、ひどい奴だよな。
なんだ?
この無理矢理踏み絵をさせられたような苦々しい気分は。
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