弥生 サウダージ

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 人は生きる限りパラダイム、習慣というものが存在する。 90分間の授業であったり、起きてから寝るまでの18時間であったり、週末までの5日間であったり、新しい環境に慣れることでそれは確立され、固定され、やがてそこから抜け出すことを拒み始めて行く。 人を例にあげたのは、当然僕が人間であるからなのだが、これは別の生き物にも当てはまる共通概念だ。 有名な実験として、ある大きさの水槽で金魚を数年間飼い、後により大きな水槽に金魚を入れ替えて生活させても、以前の水槽までの領域までしか活動しない、というものがある。 金魚達にとって透明の見えない壁の向こう側に世界は存在していない。 壁を取り払ってしまっても、その世界の大きさが変わることはないのだ。 ようするに、固定観念。 生きていく上で繋がれたリードのような見えない鎖に、人は縛られて生きている。 学生であれ、社会人であれ、それは変わることのない概念だ。 大学から社会人へと進めば、もちろん新しい環境が待っている。 しかし二ヶ月もあればそれに適応し、パラダイムは確立されてしまう。 恐ろしくも悲しい生活のリズム。 この枠に囚われている以上、人は前に進むことはなく、今ある現状に満足することしかしなくなるのだ。
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