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雨宮と話をした事が、今後どんな意味を持ってくるのかは、今のところまだ予想もつかない。
ただ、僕は彼女のために何かしてあげられることがないかと考えた結果、自分なりに出た答えをそのまま行動に移しただけだ。
完全なる独断。彼女にとっての親切になるかどうかだってわからない。
もしかすると、とんだお節介かもしれない。
彼女に言わせれば、哀れみから来る同情。
どちらにしろ、感謝はされないわけだ。ああ、僕は一度だって、真っ向から彼女に感謝された事はないのだけれど。
それでも力になってあげたかった。
彼女の喜ぶ顔が見たかった。
彼女に感謝されたかった。
その後の展開や、お礼や、下心は存在し得ないとは言い切れない単純な欲望のための願い。
しかし後悔した。
ただ後悔した。
卒業論文を燃やした事も、雨宮に話しかけたことも、そしてそのきっかけも。
恐らく、今後活動を続けて行く上で、また後悔するだろう。
こんな気持ちになるくらいなら、いっそのこと見離してしまえばいいとさえ思うけれど、それでもやっぱり思い出して、後悔している今よりも、もっと後悔する日々を過ごすくらいなら、と考えてしまうのだ。
それなら、この不快感と罪悪感と、どうにもならない嫉妬という名の胸の苦しみに耐えることで先へ進むしかない。
僕は、自分のしている事の意味を探している。
単純なようで、難しくて。
わざと難しく解釈しようとして。
最終的にたどり着くのは、いつも決まった答えで。
だから言い訳も出来ない。
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