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「先生。…わたしの登録名、 変えてあるんですか?」 「変えてあるよ」 「何にしてるんですか?」 「…適当に」 「見せてもらってもいいですか? …参考にしたいから…」 先生が携帯を操作し、差し出す。 『もえきち』 「……」 ――これ、わたしの要素、隠せてる…? 疑問に思いながらも、 わたしは先生の登録名を 『はるきち』に変えた。 教室に戻る途中、階段を降りながら、 …ふと先生の 苦しそうな目を思い出した。 先生は、もしかしたら。 一瞬だけ、 本気で今夜、わたしのこと、 抱こうとしたのかもしれない。 抱きしめられた腕にはまだ、 先生の強すぎる力の感触が 残っていた。
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