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校門を出たところに 見覚えのある白い車を見つけ、 わたしは急いで顔を逸らし、 足を速めた。 少し歩いたところで携帯が鳴る。 携帯を取り出し、 後方の白い車にちらりと 目をやってから、 通話ボタンを押した。 『知らんぷりするなんて、 ちょっと冷たくない?』 からかうような 白井さんの声が聞こえて来た。 「白井さんとは、もう 話しません。さよなら」 『ちょっと! …ちょっと、待ってよ…』 慌てたような声を無視して、 電話を切る。 歩き出すと、 再び着信音が鳴った。 ため息をついて携帯を開く。 「なんですか」 『今日はね。 …君に見せたいものがあって、 持って来たんだ。 その先のファミレスで、話せない?』 顔を上げると、 坂の遥か下にある、通りに面した ファミリーレストランが目に入った。
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