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呆然としていると、 白井さんは意味ありげに 微笑んだ。 「世間から見たら、彼女も 被害者のうちの一人だろうね。 住むところも両親も、 一度に失ったわけだから」 「世間から見たら、って……」 白井さんは、ふっと笑みを消し、 冷たい眼で言った。 「俺は、月子が二人を 殺したと思ってる」 ガチャン、という お皿が割れるような音がして、 わたしはビクッと身体を揺らした。 店の奥から、 失礼しましたーー、という 間延びした声が聞こえる。
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