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客たちの話し声。
食器同士の触れる音。
絨毯を歩く靴音。
レストランの中にも、
色々な種類の音があることを、
わたしはこの時、初めて知った。
なぜなら、……この一角だけが、
空気が固まったように静かだから。
「失礼ですが、白井さん」
淡々とした春山先生の声。
「うちの生徒とは、
どういったご関係で」
隣の席に座る先生の顔を
ちらり、と盗み見る。
…こ…。…こわい…っ。
先生は柔らかな表情で、
微笑みさえ浮かべている。
「いやあ、先生。
関係もなにも、お友だちですよ。
ね、萌ちゃん?」
「……」
「萌ちゃんてば」
――こっちに振らないで……っ。
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